昨年8月30日、Yさんは例の長年親しくしている教え子のKさんと来訪されました。神界のお示しによりますと、YさんとKさんは前世で姉妹の関係であったとの由でございます。
Kさんの息子さんには、音楽の才能があります。沖縄県の音大に、プロとして活躍された実力・知名度共に抜群の教授がおられます。その教授がぜひKさんの息子さんにうちの大学に入学してほしいと、声をかけてくれたのです。
先生は素晴らしいのだけれど音響設備に問題がある沖縄の大学に行こうか、それとも近年これといった有力なプロを輩出してはいないが、伝統ある国立音大にした方がよいかとの選択で、息子さん、御両親共々に迷われたことがございました。
息子さんの将来のことや複雑な人間関係、その他の事柄が幾重にも交叉して、一同どうしたらよいのか全く判断できなくなってしまったのです。
息子さんは現在、神様のお示しどおり国立音大に通われ、元気に励んでいます。高校時代からのガールフレンドも東京のある専門学校に進学されました。夏休みには仲良く手をつないで、実家に帰って来たそうです。
「先生に女難の相があると言われた息子ですが、本人を信じ、自然に任せて見守ってゆこうと思ってます」と、Kさんは笑顔で話されました。隣に座っているYさんも、この話を笑って聞いておられました。
この年の春Yさんは、学生アパートの水源を水道にすべきか井戸にすべきかを迷われておいででした。
「水道管は何百メートルも離れたところから引かなければならないため、もし確実に井戸がでるようなら助かるのですが」との相談でした。
昔から付近の村内で、井戸を持っている家は一件もありません。地形は山岳状の高方に位置しており、100メートル掘っても水がでるという保証は出来ないとの、井戸屋さんの話だそうです。
銀行からの借入金利の上昇や予想外の出費もあり、井戸がでてくれれば経費の節約になり、Yさんは助かります。
しかし、いざ掘ってみて水が出ないのであれば赤字が大きくなってしまいます。仮に出たとしても深く掘れば掘る程お金がかかりますから、それなら確実な水道にすべきなのか。それにしても、水道を引く経費は決して小さい金額ではありません。さてどうしたものだろうかとなった次第です。
私はYさんのために何とかしてあげたいと、はやる気持ちを押さえて神前に向かい鎮魂致しました。そして神様のお示しを待ちました。
「55メートルにて水は出る」と御神示を賜わり、この神界からのメッセージをYさんにお伝えしました。
このことを隣で聞いていたKさんが、「もし本当に水が出たなら、これはすごいことですね」と、Yさんと私の顔を交互に見ながら言われました。
Yさんは、「出来るだけ井戸を掘る方向ですすめたいと思いますが、もう一度よく井戸屋さんと相談してみます」と言われ、この日Kさんと帰途につかれたのでした。
5月2日、社務所の方へYさんからの電話が入りました。その後よく調べたところ、少し離れた隣の村落に一つだけ井戸があることが分かったそうです。
その場所は、Yさんのお住まいより標高が低い位置にあり、深さ100メートルで水が出ているとのことです。
やはり最低でも100メートルから120メートルは掘らなければ、水は出ないようですとのYさんの報告を、私は受付係を通じて聞きました。
不安な要素が重なり、相当深く掘らなければ水は出ないだろうと覚悟を決め、Yさんは井戸を掘ってみることにしたのです。
Yさんお心の一方では、55メートルで水が出てほしいという願いとともに、神様のお示しは本当だろうかという好奇心も働いておられたと思います。
神様を試す様な不心得な人たちが、私がこれまで神仕えしてきた中に何十人かおりました。それは大変にいけないことです。神への不敬は最大の罪となり、自らの業で因縁を作ってしまうからです。
しかし、聡明なYさんにこのようなことは決してございません。ごく純粋に神様のお示しどおりになってほしいと、好意的に願われておいでだっただけです。私はYさんの井戸の件を時々思い出しては、気にかけておりました。
さて、8月30日の午後にKさんと連れだって来られた、Yさんのお話の結果に入りたいと存じます。
Kさんの相談事の祈願お祓いと浄霊、除霊の取次ぎが終って、自分の順番になるまでポーカーフェースを通されていたYさんは、お話を始めると満面笑みをたたえ、時に高らかに笑われたのでした。
「先生のおっしゃられたとおり、井戸水は55メートルぴたりで出ました。掘り始めてみますと、最初は固い岩板でした。
次に40メートル過ぎまでずっと赤土でした。様子を見にきた弟も、出るといいねと言っておりました。じゃりが出てくるようになれば水は近いのですが、いっこうに出てきません。
それから、47~48メートルまで掘りすすんだところでじゃりが出だしたのです。53メートルでいい水が出はじめました。
私が井戸屋さんに何メートルで水が出たのですかと聞いてみますと、55メートルです、との答えでした。
井戸は普通ですと一週間位しか掘らないのですが、井戸屋さんは二週間かけてよく掘ってくれました。
水圧で地下30メートルまで水位が上がり、水温16~17度の水がもったいない位よく出ます。晴天が続き過ぎて東京が給水制限をしていたあのカラカラのときも、近所の田んぼに分けてあげたいようでした。
おかげさまでアパートの設計建築を依頼したI建築事務所はいい仕事をしてくれることで評判の会社です。
代表者のIさんとそこにお勤めの設計士のMさんに、アパートの件で私はたいへんお世話になっております。二人とも人物、実績ともに立派な方です。
55メートルで水が出るということを小耳に挟んでいたMさんは、技術者で科学的思考の方です。ほんとうに水が出てしまい、Y先生、僕の人生観が変りましたとMさんが言ってました」とのことです。
以上でお分りのように、神理のあざやかなことが皆さんにもよく御理解いただけたと思います。
Yさんは、例えば成人病の検診にひっかかり、右卵巣に腫瘤ありと診断されたときにも、私の祈願お祓いと浄霊、除霊の取次ぎを通して神様にお救いいただいておられます。その他にも数多くの御守護とよき巡り、おかげがございます。
また、Yさんが神の御元へお導きされた後輩のNさんの奥さんは、医学的に原因が分からないまま長期間微熱が下がらず苦しい状態だったのですが、体の守護祈願お祓いと浄霊、除霊、神気充電の神法を行う神通霊能者の私の取次ぎを介して正神界の神々の御守護を賜りよくなられました。
もう一人の後輩のYさんは正神界の神々の御守護御導きを賜り、昨年暮れに素敵な奥さんを娶(めと)られ、幸せにお暮らしです。
人間にとって最も大切な知情意のバランスと聡明な判断力を体得されているYさんは、もちろん日常生活の中でも神の御心に添うべく精進努力なさっておられます。
神を崇め敬い、きれいな心で誠実に人に尽くされる人格者のYさんは、可愛気も合わせ持たれていらっしゃいます。
だからこそ、神様からより多くの御守護とごほうびを、Yさんはいただけたのでございます。
神通霊能者 笹本宗道 著「神仰のパワー」より引用