審神者(さにわ)についての解説を、初代会長笹本宗園の著書「霊障からの救い」から引用して、皆様にお伝えさせていただきます。
「審神者(さにわ)とは何か
審神者ということばに初めて接する人も多いでしょう。これは霊学霊術上の専門職名のことです。同じ霊術者でも、行者、霊媒、巫子などは多分に耳なれたもので、接することも屢々あるでしょうが、審神者というと、一体何をする人だろうかと疑問をお持ちになるにちがいありません。
審神者とは、一言でいえば霊を取り扱う専門家のことです。第一に霊の取り扱、処置が出来なければ審神者とはいえません。霊の取り扱ができるということは、霊媒や、霊的素質のある人に霊を呼んでかからせる能力をもっていることです。これを招霊能力といいます。
第二に、霊媒者にかかった霊がどういうものか、対話したり訊問したりして判別する力をもっていなければなりません。それには、神界の深い知識、霊に関する広い知識をもっていることが必須のことになります。この総合的な判別能力が必要となります。
第三には、霊が低級な邪霊であったり、害をなすものであった場合は、これを霊縛(しばること)したり、説得したり、除霊したり、送りだすなどの処置をとらねばなりません。これらの責罰力、説得力が必要です。
霊の世界は正しい霊とともに邪の霊もおりますし、高級霊ばかりでなく低いものも数多く住んでいますから、招霊した場合は油断も隙もありません。隙があれば低級霊が寄ってきて邪魔をすることがあります。
さきに、私のところでは霊能開発のできた者に自分で勝手に霊媒行為をしてはならないと固く戒めていると述べましたが、率直にいえば、審神者がいないで霊媒行為をするのは大変に危険なことだからです。
審神者は、主導的に霊を招き、監視し、判別し、処置しますから、少しでもおかしいことがあれば問責し追究して霊媒を危険から護ります。霊媒は霊に対して受身になりますから、悪い霊にやられると処置がとれなくなります。審神者なしで霊媒行為をしている人々も少なくないようですが、大変危険なことといわねばなりません。
審神者は例をあげるならば、野球の監督と審判を兼ねたようなものです。充分な知識と経験をつんで、積極的に選手に当る霊媒を引張ってゆかねばなりません。大変な責任のある職務なのです。
審神者となるには、自分の勉強も大いに修業せねばなりませんが、それ以上に神界との縁が緊密でないといけません。つまり、守護神との結縁がしっかりしていないと、この職務はつとまりません。審神者の能力は、本人の力と、それ以上に高い神界のお力を借りなければ、諸々の霊的処置はできないからであります。
ですから審神者となるには、一般霊媒以上に想念向上と霊格の高揚につとめ、高い神界からのお墨付きを頂いていないとつとまらないのです。審神者は真の高級な霊能者でないとなれないのです。
従って、霊媒としての適格性をもつ霊能力者は世間に比較的多くおりますが、審神者として立派な適格者は非常に少ないものです。存在していても探しだすことは極めて難しいといってよいでしょう。それは、霊媒者のように一見華やかな面をもっているような人が少なく、どちらかといえば地味な方が多いからです。真の神仕えの人は人間的な派手さを避けることの大切さを心得ているからでしょう。
現在、私が理解する範囲で、審神者として立派な方は、本田霊学の直系の後継者である顕神会会長、佐藤卿彦師、霊学霊術の大家宇佐美景堂師、また、有名な物理霊媒竹内満朋氏を育成されたことで有名な、菊花会会長の小田秀人氏、救霊の実績豊かな㈶日本心霊科学協会の大西弘泰氏などをあげることができます。これらの方々は神からご覧になれば、超霊媒能力者の資格を付与せられた人々であると思います。審神者は真の神人でないとなれないと思います。
特定の宗教団体のなかにも隠れた優秀な審神者が少なからずおられると思いますが、宗教というベールのなかにいることから、世間的には知られる機会を得ない方もあると思います。神道系のものにはかなりおられると思います。仏教系では天台宗、真言宗などの密教系のもの、日蓮宗系のものの中に多いと思われます。
かくいう私も、市井の一審神者として神に仕え、人格の因縁浄化と救霊に努めている者の一人であります。審神者は、霊術霊能に関して一般霊媒者よりも遥かに重要な存在であります。」