正神崇敬会に寄せられる悩み、相談事はじつにさまざまですが、深刻な病気に苦しむご家族をなんとか救いたい、健やかな毎日を取り戻したい、といった病気に関するものが少なくありません。
ひと言で病気といっても、ガン(悪性腫瘍)、心臓病や腎臓病といった内臓疾患もあれば、難病、奇病、原因不明の不快症状、うつ病や不安神経症、統合失調症といった心の病気までさまざまです。
意外と見過ごされがちですが、病気は見えない世界と密接にかかわっているものです。その見えない世界も、大きく二つに分けて考えることができます。
一つは心、想念との関係です。そしてもう一つは、いわゆる霊障と呼ばれるものです。
まずは心、想念と病気とのかかわりについて見てまいりたいと思います。
「病は気から」とは昔から言われてきたことですが、病気癒しの根本に当たるのはまさに想念です。想念は、病気をはじめとするあらゆる苦悩の根源なのです。
たとえば、だれかを恨む、周囲に不満を抱く、自分を卑下するといったマイナスの思い(心の動き、心の持ちよう)は、身体にもマイナスの影響を及ぼすものです。
現代医学の世界でも、その人の心理状態やストレスなどが身体に与える刺激が精神(心)から神経系や免疫系にも影響し、それらが複雑に関与して健康維持や発病、また、病気からの回復に関係しているということが研究によって明らかになってきました。一方、笑いが免疫力を向上させたり、中性脂肪や血糖値を正常に近づける、自律神経を活性化させるといった作用があることが解明され、その健康効果が注目されているのはご存じのとおりです。
「試験前になると頭痛がする」「義理の母に会うと胃が痛む」など、不安や緊張があると、体の一部に痛みを感じるという話はよく耳にしますが、これなども、痛みの原因が心にあることを物語っている例でしょう。いくら鎮痛剤を用いても、その人の心(想念)が変わらなければ痛みは治りません。
簡単にいってしまえば、心と体は一つだということです。したがって、まず想念の転換をはかり、その人自身が変わることが大切なのです。これが病気癒しの根本治療であり、浄化・浄霊はその上に立って行うものです。
頑固な人……ガン、結石、梗塞
わがままな人……胸(呼吸器、心臓)の病気
短気・怒りっぽい人……高血圧、脳溢血、ドメスティックバイオレンス、肝臓病
クヨクヨする人……うつ病、不安神経症、強迫神経症
優柔不断な人……統合失調症
むら気な人……躁鬱病
我が強い人……社会生活不適応
ヤセて美しく見せたい願望が過ぎる人……拒食症
何かのせいにする人……被害妄想
現実逃避……誇大妄想
良心の欠如している人……サイコパス(APD=反社会性人格障害)
食欲をコントロールできない人……肥満症
平成19年(2007)3月4日のこと。不安神経症、強迫神経症に悩んでおられる会員の河根秋子さん(40代)から、「どうしたら(私の)神経が太くなるでしょうか」とご質問をいただきました。その問に対して、私はつぎのようにお答え申し上げました。
「これまでの40何年かの人生をふり返れば、大変なこともいろいろあったでしょう。でも、神様のご守護をいただきながら、すべて乗り越えて今日につながっていますね。
不安に思うことだって大事です。ミスを犯さず、慎重に物事を進めていくうえで意味があります。でも、それが過ぎて、いつも頭のなかで不安や悲観といったマイナスの思考回路ばかりを強化していたら大変です。それは、頭では南に行きたいと思いながら、足は北へ向かって歩いているようなものです。
その逆で、日々『これはちゃんとやったから大丈夫!』『あれも○○したから大丈夫!』と一つひとつの事柄を声に出して、肯定的な方向に強化するように実行していけば、神経はだんだん太くなりますよ」
肯定的な言葉を声に出して言う(自分に聞かせる)ことで、そのとおりの人物になれるという自己実現のための方法の一つにアファメーション(afirmation=断言)があります。言葉には良くも悪くも実現する力があり、だからこそ、良い言葉を発することが大切なのです。日本では古くから言霊(ことだま)ということが言われますが、それほど、ふだんからくり返される言葉には力があるということです。
もう一つの見えない世界、霊の障りによる病気は、ご本人にそれという自覚がなく、肉体や心の病気と思って病院で診てもらっては「原因不明」と言われ、苦しみを抱えながらいくつもの病院を転々とする、ということが少なくありません。
世の中には霊を受けやすい体質の人がいらっしゃいます。そういう人は、ちょっと人ごみに出るだけでも他者に憑(つ)いている穢れた霊を受けてしまったり、自覚のないまま霊場を訪ね、そこでごっそりと良からぬ霊を背負って帰ってくる、といったことがあるものです。
なかには、前世、あるいは先祖が積んだ根深い因縁(奥の因縁)を、今生、霊体質というかたちであがなうように生まれついた人もいらっしゃいます。また、人格的に立派で、心がけよく暮らしておられる方でも、乗り越えるべき試練として、神様から霊体質の役回りを与えられて生まれてくる方もあるのです。
霊障による体の不快症状については引きつづき次項(61ページ)でも取り上げますが、ここではまたちがった事例を取り上げ、霊が体に与える影響、神様のお力のおかげでどのようにして解消がなされてゆくのかをお話したいと思います。
ご自身の左目の病気が治ることを願って、志木恵里子さん(58歳)が訪ねてこられたのは平成17年(2005)12月5日のことでした。
11月17日に左目の充血に気づいた志木さん。はじめは肩こりが原因かと思われたそうですが、2、3日様子を見ても治らなかったため、地元の眼科を受診したところ、「光彩炎」といわれ、目薬を処方されたといいます。
しかしいっこうに良くならず、十日後には症状が悪化。眼球にステロイド消炎剤を注射されたところ、目が真っ白くなり、何も見えなくなってしまったのでした。
最終的に、「うちでは原因がわからない」ということで、大きな病院を受診することを勧められた志木さん。このままではどうにもならない、そんな不安にかられたとき、ふと正神崇敬会のことを思い出し、何年も前にお姉さんからもらった新聞(『正神新報』を押入れから探し出して連絡をくださったのでした。
二日前から急に目が見えるようになったものの、まだ七割程度。オブラートがかかったような状態です。一度はとれかかった充血も逆戻りしてしまいました。
「眼球の内側が痒く、外側が痛みます。それに夕方になると首から上がすごく痛むんです。そんな状態が先週の金曜日までつづき、その後、痛みはなくなりました。
眼底検査でも異常はなく、眼科ではまったく原因がわかりません。内科で診てもらっても、糖尿はないといわれました。目の内側の痒さは相変わらずつづいています」
何十年も前から、家族、親族に憑いているさまざまな邪霊、因縁を受けてきたという志木さん。
「緑内障の母と電話で話してからというもの、母はレーザーの手術がうまくいって新聞が読めるほど良くなったのですが、それから私の視力が悪くなってしまったんです。それに、リウマチを患っていたおばから受けて、おばが良くなると、私にリウマチの症状が出るようになってしまいました。でも、血液検査ではなにも出ないのです」
現状を変えたい、良くなりたい一心で、ある神道系の宗教団体に入信し、後に仏教系の宗教団体にも通った経歴を持つ志木さん。後者では、教祖自ら、神などいない、自分(教祖)を崇めるように、と言われたといいます。
おかしなところに縁を結ぶと、ちっとも良くならないばかりか、皮肉なことに知らず知らずのうちに、他人の悪因縁をベタベタと受けてしまうのです。事実、志木さんはその宗教団体とかかわってから、人の因縁霊や念、穢れを受けて頭も心も混乱し、体にもますます悪い影響が出るようになってしまわれたのでした。
志木さんには、邪霊がたくさん憑いて邪魔をしていました。弱いところを狙って障りを出していたのです。
霊体質は志木さんばかりでなく、血をひく二人のお子さんも受け継いでいました。
「娘は私の目を見ると、自分の目が痛くて直視できないと言っています」
「息子も、幼いころに発症したアトピーとアレルギー性鼻炎がずっと治りません。痒がって全然勉強しないので注意すると『うるさい、だまれ』と言い返され、イライラしてばかりで手がつけられません」
正神界に霊査取次ぎをお仕え奉りましたところ、志木さんの目の邪魔をしているのは竜神眷属邪神、火竜神眷属邪神、稲荷眷属邪神であることが明らかになりました。さらに、眼科で受けた注射の副作用(薬害)が影響しています。
この日、初回のお祓いを受けた志木さんは、三種の眷属邪神のお祓いによる一部浄化とあわせて、体の邪気、マイナスエネルギー、穢れの一部浄化と、神気充電、さらに守護神の一部浄化のご守護を神様からいただかれました。
志木さんと、お子さんたちの霊体質の原因である奥の因縁浄化と、御霊磨(みたまみが)きの大切さについてもお伝えいたしました。
それから二日後の12月7日、志木さんは二回目のお祓い浄霊を受けにみえました。
左目は充血し、まぶたが下がっていて、右目と比べてかなり小さい状態で、見るかぎり、初回と変化はありません。
「相変わらず、左目にオブラートがかかったような感じです。目薬を注すと、一時まぶたが開くのですが、時間がたつと充血してきて、まぶたが閉じてきます」
「じつは、一昨日お浄めをいただいているときに腰が痙攣して、昨日は痛くて一日床に就いていました」
スーパーの販売職を休職中の志木さん。なるべく早く仕事に戻りたいと願っていますが、「でも、そうすると、たくさんの人に接するので、また霊を受けてしまうことになるんです」
この日、志木さんは神様から、竜神邪神、稲荷邪神と、幽体の奥に隠れていた天狗霊(複数体)の浄化、体のご守護をたまわりました。
五日後の12月12日、志木さんは三回目のお祓い浄霊に参られました。
「おかげさまで、一昨日の土曜日に眼科へ行きましたら、『まぶたが開きましたね』と言われました。でも、まだ霞が取れていないのと、充血、まぶたが下がって、一面に黒いものがチラチラ見えました」
「私が帰宅したら、息子が頭痛を起こしました。それから娘が帰宅したとたん、私の左目に何かがグシャッと入ったんです。そのあと、娘と話していると、異常に眠気を感じました」
「息子の学校の先生と個人面談をすると、腰が痛くなるんです。それに、先週は息子が一人で先生と面談したのですが、帰宅した息子から(先生についていた穢れを)受けて具合が悪くなりました。お祓いを受けると、かえって霊が寄ってくるみたいなんです」
霊体質の方はみなさん、浄化の途上では、このような段階を通らなければなりません。神様から浄めていただいた部分が隙間のような状態になり、そこに邪霊が入り込みやすいのです。
ただ神様にお願いだけして、よしとはされないのです。ご自身も正神界の神々様に心を合わせ、想念、意識の向上、霊性向上の行をされて、心の隙を減らさなければなりません。想念、意識が向上すれば、それに伴って守護神も強い方がついてお守りくださるのです。神様にお願いしてご浄化いただきながら、ご本人も御霊磨きに励まれることで、邪霊の妨害と霊体質が改善されてゆくのです。
「志木さん、神様にお願いするだけでは、お浄めいただいた部分の隙間は埋まりません。ご自宅に神様をお祀りして、心をこめて朝夕に神詞(のりと)を奏上してください。その祈った心で日々の御霊磨きに励まれることです」
こう申し上げると、ご自宅は狭く、御札をお祀りできるような状態にないとおっしゃる志木さん。そこで、朝は太陽に向って、夜は北の天空はるか彼方の天之御中主大御神の主座である紫微宮(しびきゅう)に向かって心をこめて神詞をお唱えしていただく、という救済措置があることをご説明申し上げました。
「先生、私の目は何回で治りますか」
「六回のお祓い浄霊でいい線までいきます。それが眼目ですから、あと三回のお祓い浄霊が必要です」
それから三日後の12月15日、志木さんは四回目のお祓い浄霊にみえました。
「先生、神詞のお唱えをはじめました」
そうおっしゃる志木さん。この日も志木さんは、神様から、三種類の邪神のお祓い浄霊と体のお祓い、神気充電のご守護をいただかれました。そしてお祓いのあと、御霊磨きの修行も少しなさいました。
五日後の12月20日、五回目のお祓い浄霊にみえた志木さん。左目の充血はほとんど引いて、パッチリと目が開いていました。
「土曜日(17日)に眼科へ行ったところ、だいぶよくなったと言われました。二種類だった目薬が一種類に減って、点眼も一日五回から四回に減りました」
息子さんのアトピーの痒みが治まってきているとみえ、毎晩よく眠るようになられたとのこと。ただ、息子さんが志木さんに甘えたくて、後ろから抱きついてきたりすると、背中や腰が痛くなったり、捻挫をしたりと、息子さんと同じところが悪くなるといいます。
「志木さんと息子さんのあいだを邪霊が行ったり来たりしています。志木さんの浄化に目鼻がついてきましたから、今日は息子さんのこともお願いしましょう」
この日、二人のあいだを行ったり来たりしている共通の三種の邪神と、体のお祓い、神気充電、さらにお二人の霊体質の一部浄化を神界にお取次ぎ奉りました。
二日後の12月22日。志木さんは六回目のお祓い浄霊を受けにおみえになりました。「目の霞はお浄めをいただいて取れました。おかげさまでだいぶいいです」
スーパーへ買い物に行ってから黒いポツポツが見える、娘さんと話をしていると調子が悪くなる、といったことはまだ起こりますが、邪霊の抵抗が減り、元気が出てきた志木さん。家のなかの片づけに着手していることを話してくださいました。
満願のこの日、すでに95パーセント回復している志木さんと、息子さん、さらに娘さんと三人のお祓い浄霊を正神界の神々様にお願い奉りました。
こうして志木さんの体のお祓い、神気充電に加え、障りを出していた邪神の浄化・神界お引き上げは完了しました。
神様から幽体奥の浄めもいただいた志木さんは、初回来訪時とは別人のようにお元気になられました。患っていた左目は、右目と同じ大きさに戻り、澄んで輝いていました。
人間に対する影響力の強さから見て、憑依(ひょうい)と因縁とでは、後者のほうがはるかに大きなものです。しかし、単純な憑依による霊障にしても、障りを出している憑依霊の悪質度によっては、かなり手こずることもあります。どこで鑑てもらっても「わからない」「手に負えない」霊障というものもあるものです。
自己中心、妬みや恨み、疑い、卑下、憎しみといったマイナスの感情にとらわれてしまうと、低級霊、邪神、魔神といったよからぬもの(マイナスのエネルギー体)が、磁石に吸いつく砂鉄のように引寄せられてくるものです。濁った心には、濁りの程度に見合った邪神が必ず憑依しています。それはときに、過去生でついたものが、今生に引き継がれるということもあるのです。
また、霊体質の人の場合、ご本人が心がけよく過ごしておられても、さまよっている穢れた霊を出先、旅先などで受けてしまったり、他者に憑いている邪霊、低級霊を受けてしまうこともあるものです。ご本人が霊体質であることを知らず、肉体の病気、心の病気と思って苦しみ、あちこちの病院を転々とする例もめずらしくありません。今回、本書に手記を寄せて下さった会員の方々のなかにも、そうした霊障で苦しんできた事例をあげている方が何人かおられます。
神様のお力をお借りして行う霊障の浄化、解消とはいかなるものか。一つの事例を通してご紹介させていただくことにしましょう。
井上善郎さんから突然、正神崇敬会にファクスが送られてきたのは平成18年(2006)9月28日の早朝のことでした。その内容は次のようなものでした。
「お世話になります。私は三年ほど前に一つの商売がダメになり、株に手を出しました。プロについてやっていましたが、株を手放したために大損し、その損を取り戻すために今度こそ、今度こそとつぎ込んで、またたく間に大金を失ってしまいました。三年ほどのあいだに一つも当たらず、ピタリ、ピタリとすべてが裏目、裏目に出てしまったのです。夜は夜で床に入ると下から突つかれているような苦しさに襲われて目が覚め、ここ三年半ほど頭痛と胃の痛み、不眠症に苦しんでいます。相当に強い悪霊かなにかに憑かれてしまっているような気がしてなりません。どうかよろしくお願いいたします」
この日、井上さんは個人鑑定の予約をお取りになり、翌10月2日、同居している大橋邦子さんと二人で来訪されました。
井上さんは折り合いの悪い夫人とは十五年前に別居、その後、何年かして邦子さんと知り合い、一緒に生活をはじめたそうです。これまで大橋さんと七、八年、一緒に居酒屋をやってきましたが、赤字つづきで経営が立ち行かなくなり、一番底値のときに、店と土地を手放さざるをえなかったといいます。結果的に、損失は3500万円にも上りました。
その後、株に手を出した井上さん、プロに数百万支払い、そのアドバイスのもとに売買を繰り返しました。ところが、「これは上がる」といわれた株を買うとすぐ下がる、しかたがないから売ると、その三時間後には急に跳ね上がる、といった具合に、すべてが裏目に出て、6000万円近い損を出してしまわれたのでした。
ここまで邪魔が入るからには、なにかよくないものが憑(つ)いているにちがいないと思った井上さんは、方々の占い師や霊能者、祈祷師、お寺などで鑑てもらいましたが、いずれも「なんの障りもない」「これからよくなります」といった答えが返ってきたといいます。
それでも納得できなかった井上さんは、その後、ある新興宗教の先生に鑑てもらい、いわれるとおりにしたところ、損の上塗りをしただけで、最終的には「手に負えない」と断られてしまいました。結局、原因は分からずじまいで、問題の解決には結びつきませんでした。
たまたま電話帳で正神崇敬会のことを知り、先のとおり、私あてにファクスを送られたのでした。
「大橋と二人で仕事をするようになってから、一つもいいことがないんです。他所で視てもらっても『なんでもありません』の一点張りでちっともよくなりません。憑いているものをなんとか取ってください」
正神界に霊査取次ぎをお仕え奉りましたところ、井上さんには、稲荷邪神、稲荷系魔神、人魔が憑いていることが明らかになりました。
「穢れ落ちて、邪神化したお稲荷さんは眷属霊ですから障りはキツいものですが、手先で使われているだけです。奥で稲荷邪神を操っている女の魔神が陰のボスです。とてつもなく強い邪魔ですが、神様は三回のお祓い浄霊で取ってくださるとお示しくださいました」
初回のこの日は、井上さんの運命と心身に障りを出している、前線部隊でうごめく気の毒な稲荷眷属霊多数の浄化、神界お引き上げのご守護を、稲荷神界皇之臣神様を介して、佐田彦大御神がくださいました。
翌日の10月3日には、第二回目と、第三回目の神界取次ぎをつづけてお仕え奉り、正神界の神々様の格別のご守護をたまわり、通常、考えられない速さで、井上さんに障りを出している魔神のお祓い浄霊は終了したのでした。
三日後の10月6日、井上さんからお礼の電話がかかってきました。
「おかげさまで、すっかり体調がよくなりました。頭の重苦しいものが取れて胃も軽くなりましたし、夜も眠れるようになったんです。先生のおっしゃるとおりでした。ありがとうございました」
「それでですね、今度は運を強くするお願いはできますか」
井上さんは私にこうお尋ねになりました。
正神にすがって助けていただきたいというお気持ちと、たとえ間違った欲心、迷いを持ちながらも、それなりに向上したい想いを持たれている方の場合には、神様は手を差し伸べてくださいます。逆に、魂のレベルが低い人ほど神理をなめてかかり、お安い計算や打算とともに、恥も外聞もなく醜態をさらけ出すのです。
「できますよ。井上さんの様子を拝見しておりましたが、もちろん大丈夫です。そのためには、ご自宅に神様をお祀りして、心を込めて朝夕の神詞を奉上して、その祈った心でコツコツと日々の御霊磨きの行に励まれることです。そしてときどきは、神様のところへ参られて、魂のお祓い浄霊のパワーをいただいて努力を重ねていかれると、だんだん運が強くなるんです」
私の説明を聞くうちに、井上さんの返事の声がしだいに小さくなっていきました。少し間を置いて、井上さんの横にいた大橋さんが、なにやらすまなそうな口ぶりで話しはじめました。
「すみません。じつは私どもは○○会(仏教系の新興宗教)の会員でして、神様の御札は家に祀れないんです。そんなに熱心にやっているわけではないんですが、会員の友だちがちょくちょく遊びに来るものですから。その人たちの目があってまずいんです」
そのような事情がある方には、救済処置として、朝は太陽に向かって、夜は北の天空はるか彼方の紫微宮(天之御中主大御神の主座)に向かって、心を込めて神詞をお唱えするという方法があります。私は大橋さんにそう説明いたしました。
翌日、大橋さんからファクスが入りました。
「先日は井上がありがとうございました。じつは、井上に憑いている魔より、私に憑いている魔のほうが、井上のことを困らせるように仕向けているように感じられてなりません。自分がとっている行動が、自分の意志とは関係なく、何かに動かされているように感じられるのです。株のことでも、胸騒ぎがして私が動くと、わざと損をさせようとしているかのように、悪いほうに、悪いほうになっていたのです。9日には、井上をみていただくようにお願いいたしましたが、現在、私のほうが頭痛その他で体調が悪いため、よろしくお願いいたします」
予約日の9日、井上さんと大橋さんは揃っておみえになりました。
「前回、前々回と先生にお祓いしていただいて私は楽になりましたが、大橋のほうが頭がズキズキ痛んでいたんだそうです。ピタリ、ピタリと悪いほうへ向かわせる貧乏神を取ってください」
井上さんから、このような願い出がありました。大橋さんは脚も痛むとのことでした。正神界へ霊査の取次ぎをお仕え奉りましたところ、大橋さんの女の業の奥に、根深い、根源的ともいえる強い魔神、ナミ魔神が憑いていることが明らかになりました。それは、大橋さんが前世で芸者をしていたときからつけていた魔神だったのです。
「神様はこの根深い魔神を三回のお祓い浄霊でご浄化くださるそうです」
お祓いが終り、正神界の神々様から三分の一のご浄化をいただいた大橋さんの頭痛はその場で取れ、楽になられました。
翌日、つづけて二回のお祓い浄霊を受けると、ナミ魔神は取れました。
ご自身の業に気づき、コツコツと堅く生きるように心の切り替えを図るべく、その日、大橋さんは正神崇敬会の神詞をお受けになり、魂の修行を開始されました。
正神に心を合わせて、心正しく励まれれば、だんだんにいい方向へと運が向かうのは間違いございません。