我孫子市の羽根田隆子さん(仮名)がY大経済学部4年の甥、良人君(仮名・姉、房江さんの長男で、哲人君(仮名)の兄)の就職試験相談のために、7月9日、良人君の写真を持参して正神崇敬会へ来訪されました。
「本日は、いつもお世話になっております哲人の兄の良人のことでお願いに参りました。先生、たいへんな難問なんです。もし神様のお力をいただけましたならば、それはもうすごいことだと思います。良人は初め銀行に就職しようと考えていたのですが、就職活動を進めているうちに『僕の個性は銀行勤務に向かないから』と、途中で進路変更しました。その後、ある大手生保会社に内定したのですが、やはり同じ理由で辞退しました。実は良人は他社を悉く振り切って、子供の頃から憧れていたG社(本年の文科系学生の人気ランキング1位)の入社試験1本に絞って、数千人の受験者の中から、現在二次試験にまでパスしております。G社とJRは若者に人気の会社です。想像を絶する倍率です。本社のG社の採用枠は40名とのことです。良人の父方の伯父がT航空に勤務している関係で、良人はゆるやかな形での縁故受験を選択しました。三次試験に残った人たちはみな優秀でしょうし、中には相当強力な縁故を持った方もおられるはずです。縁故採用枠は、全体の25%にあたる10名です。残念ながら良人の場合は人事面での応援が期待できず、三次面接試験で本人がどこまで実力を発揮しきれるかにかかっています。面接の試験官はG社の重役の方々です。能力と豊富な社会経験をお持ちの方々ばかりですから、受験者の適職性、将来性を含む能力の総てをきっと見抜かれるはずです。良人はもちろん努力家ですが、私から見ますとこれまでにさしたる苦労もなく来ただけに、ここ一番という時の頑張りというか、その辺のところに潜む弱さみたいなものが不利に働くと予想され、心配しております。先生、私は、本日と試験日の二回良人のことを神様にお願いして祈願お祓いを受けたいと思っております。おかげさまで私自身は、多方面にわたり順調です」
羽根田さんの願い出をおよそ15分位お伺いした後、私は鎮魂瞑目、霊査に入りました。
本願い出に関して神界からのお示しは即答『二回の祈願お祓い取次では駄目、三回の祈願お祓い取次を要す。良人さんの現在の合格率は三割三分なり』とのことでした。
合格祈願、神気充電、その他良人さんに必要なお祓い取次を約15分行い、一連の神事終了後、私は羽根田さんに前述の御神示と、取次後良人さんの合格率が神界の御導きにより10パーセント強化されたことを有りの侭にお伝え致しました。
神事と表裏一体で大切なことは、依頼者にとって必要な方向性を明示しつつ行う、アドバイスにあります。
合理的な行動に直結する心構え(物の考え方)を指導することなのです。
私が羽根田さんを介して良人さんにお伝えしたアドバイスは左記のとおりでした。
「国際人としてのバランス感覚を磨き、会社の発展のために全力を尽くしますということ。他社を総て辞退、身を賭しての憧れの一社に絞っての受験である厳然たる事実に含まれる本気の気持。また、客観的自己分析による能力の適職性。それらをいや味なく有効にアッピールされること。心に余裕を持っての適度の緊張。例えば『私の体重はきっと軽い方ですが、内に秘めたるエネルギーと行動力では、他者に負けない自信があります。首尾よく入社させていただいた場合には、社員割引の旅行の燃費節約になるかと存じます』等のPRも、場合によっては可なりということです。それから何としても一度直(じか)に本人に神前の祈願お祓いに来ていただくよう良人さんにお伝え下さい。もしどうしても良人さんが来られない場合には、明日10時に電話を下さい。その場合はやむをえませんので、遠隔のお祓いを取次します。全力を尽くしますが、遠隔の祈願お祓いの場合には神界の導きが三分の二ぐらいにパワーダウンしてしまうことをご容赦下さい」
「先生、私も出来る限りこちらに来るように良人に話してみます。良人の大事な人生がかかってることです。明日の10時ですね。良人によく話します。ありがとうございました」
金曜日の約束時間ちょうどに、試験日が14日(月)に決まりましたので、前日の日曜日に良人を伺わせますと、羽根田さんからの連絡が入りました。
12日の午後1時半に現われた良人さんは、ソウルオリンピックの水泳で金メダルを取った鈴木大地氏にそっくりの好青年で、礼儀正しい中にも現代風の垢抜けした品位と明るさをお持ちの方であることが、即座に分かりました。
「こんにちは。いつも弟の哲人がお世話になっております」
初対面の良人さんのキラリと光る目差しから、良人さんの誠実かつ真剣な思いが凛として私に伝わって参りました。
『ああ、頭のいい方だな』反芻するかのごとく、私は心の中で呟きました。
「はじめまして、笹本です。ようこそお越しなさられました。良人さん、今日はお越しになってよかったですよ。おばさんからよくお聞きになっていると思いますが、正神崇敬会の相談者のうち、神様がお示し下さったことを私が申し上げたとおりに実行された方々は、例えば就職試験でも受験でも九割以上の確率でご希望どおりの結果が出ているんですよ。五感で感知できない(暗在系の)マイナス要因のうち、祈願お祓いによって一定部分の消去が可能であり、逆にプラスのエネルギーを神様(宇宙)からいただけるからなんです。また、努力すべき方向性を神様はお示し下さいます。それらによって自助努力プラスアルファーの働き、つまり可能性の枠組みが広げられるのです。良人さんが神前で直に神気をいただかれますと、必ずパワーアップされます。後ほどお祓いをいたしますが、心身がスッキリするのみならず、きっと体中がカーッと熱くなるのをお感じになるはずです。ところで良人さん、良人さんはもちろん就職試験対策の本やマニュアルで勉強してますよね」
「ハイ、本を読んで研究しています。G社に対する熱意は並々ならぬものがあると自負しております」
「それはいいことですね、それでは良人さんの願い事が御心に叶いますよう、神界取次にかからさせていただきます。サー、合掌瞑目して暫しの時間、精神統一をなさられていて下さい」
良人さんが何としても合格されますようにと、私は全霊を込めて神界へ祈願奉り、短刀によるお祓いでも全力を込めてお仕え致しました。
多くのご相談者・お願い出の方々と同様、お祓い半ばから良人さんの顔面がみるみるうちに鮮紅色を帯び、やがて真っ赤になりました。
本会独自の数霊神詞を十数回お唱えして、一連の神事はおよそ20分で終了致しました。
「ハイ、良人さん、お祓いが終わりましたよ。目を開けて下さい。神様にお願いしてたった今、良人さんの順位が19名中13位から、9.5位から10.5位の間へとアップされました。ギリギリの所ですが最大限の努力をされれば、きっと合格します。どうですか、体がカーッと熱くなったでしょう」
「ハイ、すごく熱くなりました」
「そうでしょう、それは神様にパワーをいただいた証なんです」
「ハイ、ありがとうございます」
「サー、それでは今度は良人さんに必要な現実面でのアドバイスに移りますよ。他の受験者たちも必ずそれなりの努力をしているのですから、その上をゆく良人さんのよさを、重役諸氏にアピールしなければなりません。基本を大切に鏡の前で、声に出して実戦の練習をして下さい。特に心を込めて表情の研究をして下さい。たった今、良人さんは一つの体験をされた訳ですが、良人さんは神様を信じますか」
「ハイ、漠然とですが、時々感じることがあります」
「そうですか、良人さん。それは大変良いことです。世間の一流企業のほとんどが、きちんと神祀りをしていますよね。それは、一流企業の社長さん方が、神道の神祀りの大切さとそのコツをよくご存知だからなんです。航空関連で私が知り得る所では、例えばN社は確か豊川稲荷をお祀りしていたと思います。G社の上層部の方々も必ずきちんと神祀りをなさっているはずです。信仰はある面で精神的な競合ないし対立感情を生ずるという難しい向きもありますから神と直言するのは避けるにしても、例えば『大自然を含む宇宙的な何か、尊い存在によって守られているような気がします』ぐらいのお話は有効と思われるきっかけがもしあったならば、話さないより話された方がよいです。入社を認められた暁には、苦労を厭わず素直に学ばせていただき、一人前の社員として貴社の使命遂行と発展のために貢献すべく、最大限の努力を致し続けることをお誓い申し上げますということですよね」
「ハイ」
「それでは良人さん、よく工夫して充分実戦訓練をされ、適度の緊張状態で面接を受けられますように、成功をお祈りしています。また当日の、最後の遠隔による祈願お祓いの取次でも私は精一杯神様にお力をいただけるようにお仕えさせていただきます」
「ハイ、よろしくお願い致します。本日はたいへん有難うございました」
試験当日の7月13日の朝、午前9時に、叔母の羽根田隆子さんから良人さんの合格祈願お祓い取次の依頼が社務所に入りました。
これを受けて、その日の支度を済ませるやいなや、全力にて神界に願い出、良人さんに向ってパワーをお送り致しました。
かくして御神示のとおりの三回の祈願お祓いが終了致したかに見えました。
ところが、翌14日の午前10時30分、羽根田さんからの突然の電話が社務所に掛かってきました。
何やら羽根田さんはあわてている様子で、電話に出た受付との挨拶もそこそこに、私と替わってほしいとのことでしたので、直接受話器をとることになりました。
「おはようございます。先生、申し訳ないんですけど実は良人の伯父のところに伝わってきた情報によりますと、受験者が19名よりかなり多いとのことなんです。良人は大丈夫でしょうか。先生の神様のお示しでは良人は19人中の9.5位から10.5位で、ギリギリ合格するとのことでしたが……。ほんとうに良人は合格出来るのでしょうか……。もし必要であれば私としましては、もう一度先生にお願いして神様に取次していただきたいんですけれど……。それから、合否発表は遅とくも今週いっぱいの土曜日までにいただけるそうです」
「羽根田さん、良人さんが全力を尽くした試験は既に終わっています。神様のお示しどおりにちゃんと三回祈願お祓いの取次をしたのですから、これ以上神様にお願いする必要はありません。ですから心を鎮めて、無心でお待ちになって下さい。大丈夫、良人さんはきっと合格されます」
翌15日水曜日には、今度は良人さんからの電話が入りました。
「今のところ、まだG社からの合否の連絡は来ておりません。先生、あとは神様にお任せして運を天に待つ以外にない訳ですよね。その場合、私はどのような心掛けでいれば良いのでしょうか」
「それはですね、良人さん、誰よりも強くG社に入社したいと願うのと同時に、それをのり越えて無心でお待ちになることなんです。願って願わず、無心になりきることです。そのときに神様の導きとパワーが強化され、一番良い結果の出る可能性が高まるのです。今しばらく無心でお待ちになられて下さい」
翌日、翌々日、良人さんからは何の音沙汰もありませんでした。
金、土曜日は皆さんがご存知のとおり本会は休日です。
お休みの日は、通常半分は体を休めながら、半分はたまっている運営上の仕事をしたり、原稿を書いたり、勉強の時間にあてておりますので、必要以外にはあまり電話には出ないようにしているのですが、この二日間は良人さんの件がたいへん気がかりで、総ての電話を取ることにしました。
土曜日の夕方5時過ぎまで心しておりました。が、とうとう良人さんからの連絡はありませんでした。
「良人さん、頑張った訳だけれど、決定最終日まで待っても連絡がなかったところをみるとダメだったのかな……。何としても合格していただきたいものだが……」
その夜、床に入ってからも幾つかの大切な神事の探究と共に、良人さんのことを思いつつ、いつしか自我の領域を離れ、神に委ねきる眠りに入ったのでした。
7月19日日曜日。朝、一日の準備をしながら、業務主任に「良人さんに何としても合格してもらいたいものだが。でも、連絡がないところをみると厳しい状況に違いない。困ったことだ……」と、話しました。
日曜日の神務は多忙を極めます。ひっきりなしの神事の合間に、私は何回か良人さんのことを想いました。しかし、とうとうその日も良人さんからの連絡はありませんでした。
すでに合格発表の日を2日過ぎた、翌月曜日。午前中最後の予約者の神事を行うために私は神殿に入りました。と、その時、一本の電話コールが社務所から聞こえて参りました。
神務ではごく普通にご相談者の取次に入り、それは30分程で終了しました。
その後、受付係から、実は先程、良人さんのお母さんから、良人さんが合格しましたと、下記の報告を受けた次第です。
「たった一分前にG社より良人が合格したとの知らせがありました。期限を過ぎての通知であり実は本人も家族一同も諦めていた矢先の出来事です。常識ではとても考えられないことです。先生がおっしゃられていたように、やはり本当にギリギリの合格であったのだと思います。神様の御守護をいただかなければ、叶わなかったと思います。本人もそう申しております。此の度はたいへんお世話になり、本当に有難うございました。どうぞ、くれぐれも先生によろしくお伝え下さい。後日改めて、本人に正式に御礼参りに伺わせます」
翌7月22日の昼すぎ、良人青年は満面に笑みを湛え晴れやかに御礼に参られました。
サー、輝かしいスタートが決定。そこから先が大切。
人生の本番では、神様が期待なさられる魂ほど、幾重にも幾重にも厳しくお鍛えがございます。
この体験を教訓として、神様を忘れずに努力を重ねて下さいね。
『神に願いて叶わざるものなし』を地でいくような、お話でございました。
神通霊能者 笹本宗道 著「神の六法」より引用