-本話は心霊相談(霊能相談)のご依頼者に正神崇敬会初代会長の笹本宗園が、霊能者として自身の霊能開発に取り組んで初期の頃の古典的な『霊術』を駆使しての事例紹介です。
いくつかの段階をへて『霊術』は、(あらゆる宗教の源流である)古神道の神々様から厚い守護(加護)を賜り、祈願お祓いの強力な浄化力を発揮する正神崇敬会独自の『神法』へと進化を果たしました。
笹本宗園の神の道の教えと『神法』を継承した神通霊能者の現会長の笹本宗道は、使い方によってはもろ刀の剣にもなりかねないそれを、強力なお祓い(浄霊除霊)の浄化力と安定性を両立して発揮し続けられる『宇宙神道の神法』へと昇化させて、悩み相談・心霊相談・病気平癒・運命の改善強化・心願成就の取次ぎに参られる皆様の改善・解消・解決を目的として神に奉職いたしております-
伊藤友子さん(仮名・29歳)は去年9月の初めに長男隆君(仮名・3歳)の言葉が遅れていることを心配して来訪され、暫くの間お祓い浄霊の神霊治療に通っていたこともあり大変親しい間柄の方でした。
「友子さん、いらっしゃい。今日はどんな用件ですか」 「今日は隆のことと別にぜひお伺いしたいことがあって参りました。隆のことは先日霊示があったとおり徐々によくなっているので安心しています。でもどうしても知りたいことがあるのです」
「一言でいいますと、私のお腹の子が男か女かを知りたいのです。私は次の子はどうしても女の子を欲しいと思っていました。家の者はまた男だといいます。私の祖母だけは女の子だと賛成してくれますがどうなんでしょうか。今日はそのことを調べて貰いたくて伺いました」 友子さんの表情は真剣でした。若い母親にとって、お腹の子が男女いずれであるかということは決定的に重大な関心事であるようです。いや、このことは父親にとっても同じかも知れませんが……。
私は依頼をうけて、その方法を占筮によろうか、霊言で確かめようかと一瞬迷いましたが私は友子さんがかなり良い霊媒素質を持っていたことを思いだしました。先に長男隆君のお祓い浄霊による神霊治療の際、隆君が幼児のために動きがありすぎて直接のお祓い浄霊の治療が困難なことから母親である友子さんを代わりとしてお祓い浄霊治療したこと、その時に良い成績を収めたことを思いだしたのです。
「友子さん、やってみましょう。正座、瞑目、合掌して下さい」 私は招霊にとりかかりました。
私は念じました。そして、おもむろに友子さんに念を送りました。1分たらずのうちにと友子さんの口が切れて霊言が発せられました。
「こんにちは、お世話になります。私は文治郎(仮名)です」 「やあ、久しぶりです。友子さんの曽祖父さんの文治郎さんですね」 「そうです。隆のことでは大変お世話になりました。隆のことは母屋の因縁ですから、友子たちが新家へ越せば次第によくなります。心配ありません」
「実は文治郎さん、今日の主題は友子さんのお腹に居る子が男の子か女の子か知りたいのですが、判りますか。判れば教えて貰いたいのですが」と私。
ここから誠に意外な霊言が始まりました。
「友子のお腹の子は私です!」
「本当ですか」 「本当に私です。私(文治郎霊)は隆の治療の時に先生のお祓い浄霊で上げて貰いました。おかげで痛い所も消え、悩みもなくなりました。多少の心配はありますが大したことはありません。先生にいただいたお経はありがたかったです。私は今度は女の子として生まれて来ます」
「今お話しているのも文治郎さん、友子さんのお腹の子も文治郎さん、こんなことができるのですか」と私。 「できるんですよ。私がやっているんですから。友子のお腹に入っているからあまり話したくないのだけれども、そういうことはできるのです」
「お腹の子は女だとおっしゃいますが間違いありませんか」と私。 「絶対間違いありません。自分なんですから。生まれた時に見ればハッキリするでしょう」 文治郎霊の言葉は厳然としたものでした。
「私は前世は男でしたが今度はどうしても女に生まれたかったのです。私は女の子として生まれて来ます」
「文治郎さん、もう一つお尋ねします。あなたはどうして友子さんの子供として宿られたのですか」
「私は曽孫が沢山居ますが外へ嫁にだしたけれどもこの子が一番気に入っています。だからこの子の子供として生まれたかったのです。それにこの子はしっかり者ですから、この子のお腹に入ってみんなのことを見守りたかったのです」 ここで文治郎霊に挨拶してひとまずお別れしました。
我にかえった友子さんに向かって、「どうでしたか。納得できましたか」と私。「ありがとうございました。私、嬉しいんですが信じていいのかしら……」友子さんはこうつぶやきながらしきりに目をしばたいて居りました。
それから二ヶ月たった4月の初め、かなり目立つお腹をかかえるようにして突然友子さんが訪ねて来ました。「先生、この前の招霊の時のこと、私はとても嬉しいのです。祖母は全部信じてくれました。私も信じているんですが、でも少し心配なんです。家の者は祖母以外はみんな男の子だと言いはっていますので。そこで念のためにもう一度やって頂けませんか。曽祖父さんには叱られるかも知れませんが……」
私は、再度の招霊ということにためらいを持ちましたが、友子さんの執拗な気持ちに動かされて、文治郎さんには聊(いささ)か申し訳なく思いましたが、あえてこの求めに応ずることにしました。
招霊。程なくして友子さんの顔面が動いて霊言がありました。「私は文治郎です。いろいろとお手数をかけます。今、友子が話すのを聞いていました。私は友子の中に居るんですからよく判ります」
「ああ聞いて居られたんですね。再度およびして同じことをお伺いするのは気がひけますが、友子さんの気持ちに免じて許してください。友子さんは曽祖父さんがお腹に入っていること、そして女の子であることを九分通り信じているようですが、少しばかり動揺があるようです。女の子が生まれることを期待する気持ちがつよいだけに、無理もない点もあると思いますので判ってあげて下さい」
「家の者達が男の子だといってはやし立てているのも知っています。倅の嫁(友子さんの祖母のこと)は素直で出来のよい人だから私のことを全部信じてくれます。友子も祖母に似て出来がよい。だから友子の子として生まれかわりたかった。私は今度はどうしても女の子に生まれたかったのです」
「友子の中の子は私です。いくら言っても同じことです。あとは生まれて来た子が男か女かしらべてみてください。それによって判断してください」 文治郎霊の言葉は確信に満ちたもので少しのためらいもないものでした。
こうして二回目の招霊も終わりました。友子さんは文治郎霊さんに念を押しに来たわけですが、念を押された形で自分自身に対する確信をとり戻し、納得して帰ってゆきました。
それから二ヶ月余りたった6月下旬、友子さんから電話がかかってきました。「先生こんにちは、友子です。本当に女の赤ちゃんが生まれました!」 「それはよかったね」 「曽祖父さんの話は本当でした!」 「何時生まれたの?」 「一週間前です」 「電話にでて大丈夫ですか?」 「大丈夫です。一日も早くこのことをお知らせしたかったものですから。とりあえず報告します」 「それはどうもありがとう。あなたの期待どおり女の子が生まれて本当によかったね」
こうして曽祖父霊の言葉どおり、また友子さんが願い続けて来たように現実に女児が誕生したのです。私は乞われるままに友子さんから提示された赤ちゃんの名前について姓名判断を行ないました。そして友子さんの希望したマサミ(仮名)という名前にOKサインを送ったのです。
それから二十日あまりたって友子さんが目を輝かせながらマサミちゃんを抱いて来訪されました。生後一ヶ月足らずの赤ちゃんを、一日も早く見てもらいたいという心情、産後早々につれて来ていただいた次第です。額がきれいで、くりくりした目、ほんのりと赤い頬、ああこれが文治郎霊さんの生まれ代わりのマサミちゃん。「マサミちゃんこんにちわ。いい子に育って下さいよ」 友子さんは私の言葉にあわせるかのように、可愛いわが子マサミちゃん顔を、食い入るように見入っているのでした。
「このたびは本当にすばらしい体験をさせて頂きました。この子を大切に育てます。ご先祖様を大切に供養します。あの世とこの世は本当につながっているんですね。このような貴重な経験をさせて頂いたことは私の考え方の上にたいへん大きなものでした。これからもよろしくお願いします」
友子さんはこう述べてほのぼのとした幸福感にひたりながら、マサミちゃんをかばう様に抱きながら帰ってゆきました。
再生した文治郎霊さんに幸あれ、生まれいでてよりよき人生の旅路の修業に励んでください。前世は男であり、今世は女として、より豊かな経験を積み重ねてください。すべては神仏の御心によるものでありますから。私は心の中で祈り続けたのでした。
神通霊能者 笹本宗園著 「霊能開発の旅路」 より引用